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2025年2月15日

濡れた廊下で転んだらジムの責任?
スポーツクラブの工作物責任を考える

スポーツクラブの廊下で会員が転倒して怪我をした場合、施設側はどこまで責任を負うのでしょうか?

今回は、プール利用後に濡れた廊下で転倒した事故について、施設の「工作物責任」が認められた裁判例を解説します。

事案の概要

📋 参考判例
東京地裁 平成9年2月13日判決(平成7年(ワ)18345号)
損害賠償請求事件

スポーツクラブの会員(原告)が、プールでの水中体操に参加した後、水着のままロッカールームに向かう廊下を素足で歩行中に転倒し、足首を骨折しました。

原告は、廊下の床に水がたまり滑りやすい状態にあったことは施設の瑕疵(欠陥)にあたるとして、民法717条(工作物責任)に基づき、クラブ運営会社に損害賠償を求めました。

争点

争点1:工作物の設置・保存の瑕疵の有無

本件廊下に「工作物の設置又は保存の瑕疵」(民法717条)が認められるか。

争点2:過失相殺の適否

利用者本人の不注意をどの程度考慮すべきか。

結論

裁判所の判断

約302万円の損害賠償を認容

4割の過失相殺を適用

裁判所は、本件廊下には「素足で通行する利用者にとって滑りやすい箇所が生じる危険性」があり、工作物としての安全性を欠いていたとして、施設側の瑕疵を認めました。

一方で、原告にも足元への注意義務違反があったとして4割の過失相殺を行いました。

理由

1施設の構造と利用実態
2工作物の瑕疵の認定

裁判所は、以下の理由から工作物の瑕疵(安全性の欠如)を認めました。

3過失相殺の認定

一方で、原告にも過失があったと認定されました。

注意点:ジム経営者・トレーナーが学ぶべきこと

本件は、「掲示と清掃だけでは足りない」ことを示した重要な判例です。構造的な危険には、構造的な対策が求められます。

1. 構造的な危険は「掲示と清掃」だけでは足りない

滑りやすい動線には、防滑マット・すのこ・床材変更など、構造的な対策の検討が必要です。「注意書きを貼っていた」「定期的に清掃していた」だけでは免責されません。

2. 「今まで事故がなかったから大丈夫」は通用しない

利用者の属性や利用頻度が変わると、求められる安全水準も変わり得ます。過去に事故がなかったことは、将来の免責理由にはなりません。

3. 利用者への注意喚起も重要

本件では4割の過失相殺が認められました。危険箇所の明示、スタッフからの声かけ、初回オリエンテーションでの説明など、注意喚起を記録に残すことで、万が一の際の過失相殺につながる可能性があります。

濡れた床での転倒事故は、「清掃していたか」だけでなく、
「構造としてどこまで安全配慮を尽くしたか」が問われます。

施設の安全対策、十分ですか?

施設構造のリスクチェック、注意書き・規約の見直しなど、
フィットネス業界に詳しい弁護士がアドバイスします。

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※ 本コラムは、裁判例の紹介を目的とした一般的な情報提供であり、法的助言を構成するものではありません。個別の事案では、事実関係や証拠の内容等により結論が異なる場合があります。具体的な法的問題については、必ず弁護士にご相談ください。